一口に『夜逃げ』と言ってもその理由は様々です。

DVやストーカーなどの被害からくる夜逃げならともかく、夜逃げの理由が『借金』である場合は残念ながらほぼ成功しません。

この記事では『そもそも夜逃げとは、そしてその成功とはどういうことか』『夜逃げがなぜ失敗するか』『夜逃げによるデメリット』などを紹介致します。

借金での夜逃げは特にデメリットばかりで楽になる可能性はほぼゼロであると言えますので、出来れば『法テラス』などの無料相談を利用して債務整理することをおすすめします。

夜逃げとはどういうものか?

消費者金融(ローン)やクレジット(注)の無計画な利用により、借金が雪だるま式に増えてしまう「多重債務」状態に陥るケースが増えています。

中には、夜逃げや自殺など深刻な状況に追い込まれる人もいます。

引用元:金融庁「安易に借金をしてはいけません」

『夜逃げ』とは、その名の通り夜中にこっそりと誰にもばれないように引っ越しを行うことです。

借金が原因の夜逃げの場合は、その督促から逃れることが目的です。

督促状だけでなく、固定電話への返済の催促や、家賃の督促、そして何より直接訪問の恐怖から逃れる事が出来ます。

近所の人や大家などにも知らせないように出ていくため、大規模な引越し準備を行うことが出来ません。

したがって、夜逃げは着の身着のまま、最低限の生活必需品をわずかばかり持ち出してのスタートとなります。

後述するデメリットの関係で、夜逃げ後は通常の生活をすることがほぼ困難になってしまうという苦しい展開が待っています。

夜逃げって聞くと、何だか映画やドラマの話な気がします。
今もやる人はいるんでしょうか?

ノーノー!夜逃げは今でも現実にある話なんだ。
どうしてもお金が無い、仕事も無いという人にとっては最後の手段として連想されるんだよ。

メリットは非合法ながら借金の返済を免れること

夜逃げ成功のメリットは、合法的では無いですが借金を帳消しに出来る可能性があることです。

借金による夜逃げの場合、借金の時効と言われる『5~10年』を逃げ切り、『時効援用』という手続きをしっかり終えられれば法的に借金を免除してもらうことが出来ます。

しかし『時効援用』は非常に適用が難しく、決して成功率の高い手段とは言えません。

裁判を起こされた時点で年数のカウントがリセットされるので、苦労して逃げても水の泡…などということも決して珍しくありません。

当然リスクやデメリットの方が多いので、分の悪い掛けのようなものと言えます。

夜逃げによる5つのデメリット

夜逃げをすることによって生じるリスクとデメリットについて5つピックアップしました。

夜逃げそのものは犯罪には当たらないのですが、状況的には犯罪者と同等の生活になるという覚悟が必要です。

仕事・家など生活基盤を失う

夜逃げをする際は仕事先に告げるわけには行きません。

家も賃貸でない場合、家賃なども同時に踏み倒す状態で出ていく事になります。

大々的に引っ越しの準備をすることも出来ませんので、生活最低限レベルの持ち物で、見知らぬ土地で仕事探しからスタートすることになるのです。

借金取りからは逃げられますが、生活の不安は非常に大きな物となるでしょう。

家などが見つからない場合は新しい仕事先を探すのも困難で、正社員雇用は絶望的です。

アルバイトでかろうじて食いつないでいく…という生活を余儀なくされることも多いでしょう。

履歴書のいらない、土木作業や工事作業といった肉体労働に就く人が多いんだ。
後述するが、こういった場合はもしケガや病気になってしまった時が大変だぞ!

想像しただけでもかなりつらそう…!

住民票が動かせず、公的サービスを受けられない

夜逃げでは住民票を移すことが出来ません。

住民票を移してしまっては、貸金業者に新しい住所を知られてしまいます。

借金の返済行われていないなど正当な理由があれば、個人情報であっても貸金業者に現在の住所が開示されてしまうのです。

そのため、健康保険や年金などの行政サービスを受ける事ができなくなり、病院へ行く事もままならなくなります。

再就職にも大きく支障をきたしますので、正社員雇用は諦めざるを得ないと言えます。

子供が居る場合は学校で必ず必要となりますので、子連れでの夜逃げの成功は実質不可能です。

バレるのを避けるため、多くの知人と縁を切る必要がある

夜逃げをするということは、今までの生活の全てを捨てるということです。

もちろん付き合いのあった友人や知人などともすべての関係を絶つことになります。

下手をすれば親兄弟などとも縁を切る形になり、自分の心配もありますが、大切な人たちにも心配を掛けてしまうことになります。

更に、万が一逃げた先もバレそうになれば、また別の場所に移らなければなりません。

その際にも同様の縁切りや生活基盤のリセットが行われ、体力的、経済的なものだけでなく、精神的にも消耗していきます。

友達や知り合いの人とも縁を切らないといけないなんて…

場合によっては、親にも居場所を知らせずに夜逃げしなくちゃならないんだ。
取り立てが夜逃げに気づいたとき、まず行くのが親や恋人の家だからな。

債権者が裁判で申立すると、時効が延長される

夜逃げでの最大のリスクは『時効成立が難しい』という点です。

借金の時効は5年から10年で、時効援用という申請をすることで成り立ちます。

しかしこの時効の期限は、債権者が裁判で申し立てをすることによってリセットされてしまうのです。

更に、債務者が債権者に対し1円でも返済を行ってしまうと、『債務の承認』を行ったとみなされ、時効が中断してしまいます。

債務の承認が認められた場合はその時点から時効のカウントがやり直しになります。

その間に夜逃げをして借金を踏み倒して居たわけですから、当然利息などを含む返済額は夜逃げ前より膨れ上がってしまっているはずです。

時効成立に失敗すると、時効のカウントがやり直しになるだけでなく、債権者に新たな住所がバレてまた苦しい夜逃げを繰り返さなければならない…という最悪の悪循環に陥ってしまいます。

借金から逃げられたという安心感はない

夜逃げをしても借金から開放されたという安心感を得ることは出来ません。

以下のような心配事が常について回ります。

  1. 居場所をいつか突き止められるかもしれないという不安
  2. 残してきた家族や知人に対する罪悪感
  3. 差し押さえがくるかもしれないという恐怖

居場所をいつか突き止められるかもしれないという不安

夜逃げをしても絶対安全ということはまずありません。

近場や縁のある場所だと見つかってしまう可能性が高いので、必然的にできるだけ遠くや知らない土地に住まなければならないことになります。

知らない人だらけで、もしも周囲に借金取りが居たら…という不安を抱えながらの生活は想像以上にストレスです。

出歩くだけでもいつか見つからないかという不安がつきまといますので、外に出るのが億劫になってしまいます。

疑心暗鬼に陥り、通常の生活にも支障を来たすでしょう。

ずっとお金のことで悩みながら暮らすなんて、とてもつらいです…!

「街中を歩いている時に見つかったら…」「もし知人に出会ってしまったら…」
そういった不安から、極端に外出を嫌がる人も多いんだ。

残してきた家族や知人に対する罪悪感

夜逃げを知らせずに残してきた家族や知人が居るなら気がかりです。

知り合いとして行方を問われている可能性もありますし、家族などであれば心配をかけているという罪悪感も常に付きまとうでしょう。

更に家族や知人が借金の保証人になっているなとどいうケースでは、保証人に対して借金を代わりに支払うように取り立てが行われる可能性もあります。

特に賃貸契約では多くの場合保証人をつけていますので、保証人になってくれた人への裏切り行為にもなり、多大な迷惑を掛ける事になってしまいます。

差し押さえがくるかもしれないという恐怖

夜逃げではいつ行方がバレて差し押さえに合うかという恐怖とも戦わなければなりません。

差し押さえにあうかどうかはあってみるまで分からないので、いつ捕まるか分からない逃亡中の犯罪者のような気持ちで過ごさなければならないのです。

差し押さえにあえば、所有している財産は全て没収されてしまいますので、翌日からの生活もままならない状態に追いやられます。

そのような思いをするよりは、最初から債務整理で自己破産を申請したほうがリスクが少ないと言えるでしょう。

まとめ:借金から逃れても、精神的な安定はない

夜逃げについてのまとめは以上です。

夜逃げによる逃亡自体のリスクも大きく、たとえ借金から逃れても生活苦である現状は変えられません。

友人知人や家族などとの縁も切れてしまい、経済的にも精神的にも不安な中での逃亡生活は想像を絶する苦難です。

更に裁判などで時効の延長をされれば、残りの人生の長い期間を先行きの見えない夜逃げ生活で費やし続けることになります。

逃げ続けている間は行政サービスも受けられませんので、たとえ病気や怪我をしても病院に行けないという事態になります。

もちろん『借金を踏み倒している』という情報は信用情報機関に記録されていますので、新たなローンを組むことは出来ません。

借金を返済するのにも困窮している状態で、安定した職に就くことも難しく、新たな借入は不可能となると、生活は困難を極めるでしょう。

また、時効を待つ間も利息と延滞金により借金は増え続け、もし失敗してしまえばそれこそ人生のやり直しは不可能なほどの返済を背負っていくことになるのです。

夜逃げはハイリスクの割に成功確率が非常に低い手段です。

出来れば『法テラス』などのサービスに相談し、自己破産などの債務整理を行う方が、建設的な手段であると言えます。

日本司法支援センター 法テラス

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